スプリングをかたる

皆さんこんにちは。

メカニカルキーボードのスイッチ内にはスプリングが内蔵されているわけですが、スプリングにも様々な種類があり、その押し心地を決定づけている要素の一つとなっています。

押下圧が大きいスイッチは重いスイッチ…というのは何となく感覚として分かると思いますが、それ以外のスプリングの特徴(長さ、メッキなど)で何が変わるのか正直よく分かっていない方が多いのでは?と思います。

この記事ではスプリングのスペックによる押し心地の違い・特徴をお伝えします。

目次

スプリングの種類と特徴

金メッキスプリング

まず第一にスプリングは金メッキが施されているか否かで2種類に大別されます。
一昔前の高級スイッチには必ずと言っていいほど金メッキが施されていましたね。

Durock L1のような透明ハウジングには金メッキが映えます

金メッキ処理によってスプリングの表面が平滑化されるため、スプリング押下時の引っ掛かりがなくなる、というのがセールスポイントです。

スプリングの引っ掛かりという表記がよく分かりませんが、Durockが発売しているGold plated springはLube無しではクチャクチャしたバネ鳴りがあり、金メッキの恩恵は正直感じられません。

金メッキされる分、スイッチの値段が高くなりますし、近年人気のあるスイッチメーカーで使用されているスプリングには基本的に金メッキは施されていません。

ただ、透明ハウジングに金メッキスプリングが使用されていると、高級・ラグジュアリーな感じがあって見た目がすごく良いです。

金メッキは見た目のオプションとして考えるくらいに留めておくのが良いのかなと思います。

リニアスプリング

本サイトでは押下圧が線形に変化するスプリングをリニアスプリングと呼びます。
リニアスプリングには大まかに『Normal spring』と『Long spring』の2種類があります。

左:Normal(15mm), 右:Long(22mm)

私の感覚としてはスプリング長18mm以上はLong Spring、それ未満はNormal Springと思っています。

古いスイッチはNormal Springが主流ですが、最近のスイッチはLong Springが非常に多く使われている印象です。

スプリングの長さで何が変わるの?というと、スイッチのフォースカーブを見ると分かりやすいです。

左:Cherry MX2A Red (Normal Spring)、 右:Gateron G Pro3.0 Red (Long Spring)

二つのスイッチともに同じ動作点(45g)ですが、フォースカーブの傾きが違う事が分かるでしょうか。

Normal SpringのMX2A Redは押し始めが約30g, ボトムアウトが50~60g。
Long SpringのGPro3.0 Redは押し始めすぐに約40g, ボトムアウトが約50g。

つまり、押し初めからボトムアウトまで押下圧がほぼ変わらないのがLong Springの特徴となります。

また、Long Springはステムの戻りもNormal Springに比べて早く、軽快な打ち心地になりやすいと感じます。

今の流行りはLong Springですが、たまにNormal Springのスイッチも使ってみると逆に新鮮に感じるかもしれませんね!

ロングスプリング番外編

Long Springの亜種として、2-stage Spring, 3-stage Springという変わり種なスプリングが実装されたスイッチも発売されています。

2-Stage Spring

このタイプのスプリングは諸説あるのですが、私自身正直よく分かっていません!

Gateron社でも2-Stage Springを使用したスイッチが発売されています(Smoothieシリーズ)が、HPにフォースカーブの記載がなく、どのような特徴があるのか不明です。

個人的な感想としては、通常のLong Spring(1-Stage)と押した感じはほぼ変わらない気がします。

2段、3段にする意味は何なの?と言われると確かなことは答えられませんが、このような変わり種スプリングが使われること自体に価値があるのかもしれませんね。

プログレッシブスプリング

最後にご紹介するのは押下圧が非線形に変化すると言われるProgressive Springです。

Progressive Spring

Progressive Springとは、部分的に巻き数が異なるスプリングです。
上画像では上部1/5とそれ以下で巻き数が違っているのが分かりますね。

この巻き数の違いによって押し始めはバネ定数が小さく、ボトムアウトに近くになるとバネ定数が大きくなる、フォースカーブが放物線のような軌跡を描くという物です。

理論的には上記の現象は正しいと思われますが…こちらの文献を見ると実際はキースイッチにバネが実装される時点である程度押し込まれた状態になってしまうのです。

つまり、バネが伸びきった状態から押し込まれるのであればフォースカーブが非線形に変化しますが、実際にはそうではないのでほぼ線形なフォースカーブとなってしまうのですね。
(2-stage springも同じ理由で線形カーブになってしまっているのかもしれません)

非線形カーブが実現したら非常に面白いのですが、これはメカニカルキースイッチの限界なのかもしれませんね。

終わりに

ここまで読んでくださりありがとうございました。

長々と記載しましたが、スプリングがスイッチの押し心地に影響を与える要素は長さ(総長)のみ、というのが私の結論となります。

これから皆さんが本ブログの記事を読んでくださる際、もしくは新たにキースイッチを購入される際の参考になれば幸いです。

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